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意味怖話を作ってみた8

  • 2012-01-03 (火)

もはや意味怖ではないというのはさておき、、、

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Kは小学校では一番の親友だった。中学生の相撲大会で準優勝してしまうほど体格がよく、その一方で優しく頭の回転も速かった。教室に張られていたひらがなの50音表を見ながら変な言葉を作って遊んでいたのも彼だ。いいことがあったときは親指を上に立てて「しうさ〜」、悪いことがあったときは親指を下にして「こあつ〜」という具合。Kは僕だけにはその言葉の秘密を教えてくれたので、Kと僕はときどきその謎の言葉を言い合っては周囲がきょとんとするのを楽しんでいたものだ。

Kと僕は同じ中学に進学するはずだった、がそれは叶わなかった。彼が小6のときに父親の工務店の経営が危なくなり、Kは私立をあきらめ隣町の公立中学に進学したからだ。それ以来、Kと会うことはなくなったのだが、その公立中学のよくない噂はときどき耳にした。数ヶ月前その中学校内でのいじめを撮影した映像がネットに公開され、ネットが炎上したのは記憶に新しい。いじめに関わった生徒の個人情報が晒され、その生徒が退学処分になるほどの騒動に発展した。

Kが僕を隣町の公園に呼び出したのは突然のことだった。

久々の再会に喜びながら公園に到着すると、Kの横にはおびえた表情で立ち尽くす男子生徒の姿があった。その顔には覚えがあった。Aだ。小学校のクラスメイトだったが家がとんでもない金持ちで父親が地元の有力者、それをやたらひけらかすいけすかない奴で、Kと僕は彼の悪口を遠慮なく言い合っていたものだ。

「久しぶりだな、○○。お前Aのこと嫌いだったよな。ちょうどいい。今からこいつを殴らせてやるよ」

僕は耳を疑った。僕の知っているKは決して無意味な暴力を振るうようなやつではない。

「何いってんだよ。殴れるわけねえだろう。」

「ほう、お前こいつの味方なんだ。じゃあお前もこいつと一緒の目に遭わせて欲しいわけだ。」

Kの目は冗談を言っているようではなかった。僕は絶望的な気分になった。
あの優しかったKは中学校でいじめっ子になってしまったんだ。

「さあ、どうすんだよ。もう一回だけ言うからしっかり聞け」

Kは不敵な笑みを浮かべ、親指を下に向けた。そしてぞっとするほど冷たい声で一言ずつはっきり僕に言った。

「な・ぐ・れ」

次の瞬間、僕は彼に言われた通りのことをした。

すべてあとから分かったことだ。陰険なAらしい計画だった。そのとき周りにはその一部始終を撮影するAの仲間がいた。自分をわざと殴らせそれを撮影した映像をネットに公開する。それがどういう結果を生むかは言うまでもないことだろう。Kの親父はAの親父に多額の借金をしていたらしく、Kはそれをたてに脅されひと芝居を打たされていたというわけだ。

私はKに感謝しなければならない。
そんな状況にありながら、Kは私の親友であり続けたのだ。

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(以上の話はフィクションです)

ヒント(文字を反転させて読んでください)

彼の作った暗号の秘密はひらがなを50音順に1文字ずらして読むというものでいた。
親指の向きはそのずらす方向を表しているのです

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