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意味怖話を作ってみた5

  • 2011-12-27 (火)

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落盤事故から2ヶ月。ついに救助カプセルの穴が貫通した。一人また一人と炭坑から救出されていく。炭坑の中はついに私とその男の2人だけになった。

男「本当に、、長かったな。お前がリーダーとしてみんなをまとめなければとっくに全員死んでいただろうよ」
私「お礼を言うのは俺の方だ。みんなは俺のことを頼もしいリーダーだ思っていたが違う。全員で1つの場所に集まって励まし合おうと言ったのも、残った食料を管理しようと言ったのも、もともとすべてお前の提案だ。生き残れたのはお前が必要なときに俺のそばで適切なアドバイスを出してくれたからなんだ。」
男「多分そんなふうに思ってくれてるのはお前だけだよ。」
私「お前は地味でほとんど誰とも会話しなかったからな。でも本当に感謝しているよ。」
男「炭坑の事故で誰かが死ぬのはもうごめんなんだ」
私「もしかして、こういう経験は初めてじゃないのか」
男「ああ、10年ほど前にな。悪夢だったよ。発狂するものも殺し合うものもいた。残りは全員餓えで死んでしまった。」
私「そうだったのか。でもそのときのお前の経験が役に立ったんだな。」
男「ほら、カプセルが到着したよ。お前が先に行ってくれ。俺は最後までここに残るよ。」
私「まったく、どこまでも控えめなやつだな。分かった、最後の大役はお前に譲ろう。」

男と固い握手を交わし、私はカプセルに乗り込んだ。動き出すカプセル。
私「早く仲間に会いたいな。」
男「ああ、俺もすぐに仲間に会いにいく。」
私「いいか。みんなが何と言おうと、ヒーローはお前だよ。」
男は黙って親指を立てて、にっこりと私に微笑んでくれた。

上っていくカプセルの中で私は泣いていた。
右手のひらに妙に冷たい感触がいつまでも残っていた。

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解説 (文字を反転させて読んでください。下に行くほど真相に近づきます。)


彼と握手をしたとき、彼の手がとても冷たいことを知りました。

そこで私は気がついてしまったのです。

何故、彼は誰とも会話しなかったのか。

それは、誰も彼のことが見えていなかったからです。

彼は10年前に炭鉱で死んだ男の霊でした。

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