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ピクサー、おそるべし。

  • 2010-05-28 (金)

この1週間、仕事が比較的少なかったのでDVDの映画を何本か見たのですが、これがことごとく当たりでした。それも単に「いい」映画ではなく、「すごい」と思わされる映画。そんな映画に立て続けに出会うと興奮していまいますね。

そのうちの2本が実はピクサーのアニメ映画なのです。

「WALL・ E/ウォーリー」
「カールじいさんの空飛ぶ家」

正直言うと僕は今までアメリカのアニメを少しみくびってました。キャラクターはあまり可愛くないし、ストーリーは大味な気がするし。所詮、大型休みに暇なファミリー層を狙った人畜無害のお子様ランチ映画でしょ、ぐらいの感覚だったわけ。でもね、完全に考え方変わりましたね。何をいまさらと思われる方は多いでしょうが、今までのお詫びもこめて声とフォントを大にして言います。

参りました、ピクサーさん

もともとピクサーは映像の表現力に定評のある会社ですよね。噂にたがわず、実写と言われても疑いをもたないくらいクオリティーの高いアニメ映像が展開されるわけ。でも単に「実写と見間違う」ってだけなら、それははじめから実写で作ればいいだけのことでしょ。ピクサーがすごいと感じたのはそのクオリティーの中でアニメならではの世界観をきちんと表現していたからです。

例えば「ウォーリー」で宇宙船の外にしがみついているウォーリーが土星の輪に触れ、手に当たる粒子がきらきらと光るシーン、「カールじいさん」で家の煙突から大量の風船が一気に湧き出て、家がまるごと浮き上がるシーン。もし実写ならおそらくあまりに荒唐無稽で、安っぽく感じられるはずの演出が、実写に限りなく近いアニメでは違和感なくすっと入ってくる。映像は限りなくリアルに、でもアニメの持つ温度感はしっかりと保つ。このバランス感覚がまず見事。

そしてその世界観の中で丁寧に紡がれていく「物語」の力もまた見事です。何度か書いていると思いますが、僕は物語の真価は「何でもない普通の出来事」にどれだけ人の心を揺り動かす力を宿らせることができるかにあると思うのです。例えば「最愛の人が死ぬ」というストーリーを見せられれば誰でも心が動きます。でもそれを感動と言うのは何か違う気がするのですね。そういうのって、つり橋の上で知りあった男女が、不安定な足場に心が高揚しているのを異性への「どきどき」と勘違いして恋に落ちてしまう、という「つり橋効果」の話と何か似ています。死という出来事によって呼び出される不安定な心の状態を物語的な「感動」と勘違いしてはいけない。

映画のラスト、ウォーリーが記憶を失い、それを取り戻すというシーン。カールじいさんが遠ざかっていく家を見ながらつぶやくある一言。詳しくは書かないので是非見て欲しいのですが、どちらもとてもシンプルでそれ単体を見れば何のことはない描写なのですが、何、この目からあふれ出て止まらない水は、状態必至ですよ。それは何故か。その1つのアクション、1つのセリフにね、そこまできちんと積み上げられてきた「物語」の重さがきっちりと乗っかってくるからなのですよ。もうくやしいくらい巧みに。そう、これなの。僕が求めてたのはこういう感動なの! どちらの作品も前半、サイレント映画のようにセリフなしで展開していく部分があるのですが、そこで張られる伏線をきちんと回収していくストーリー構成も「うまい」としか言いようがない。

最後に付け加えるなら、この2つの映画、子供も安心して楽しめるファミリー映画らしくもちろん最後もハッピーエンドの体をなしているのですが、よくよく考えるとね、決して完全なハッピーエンドではないの。深く読めばそこにとてもブラックな人間風刺、社会風刺があるわけ。これってね、子供向けと言いながら子供に媚びたり、子供を馬鹿にしたりはしていないってことなのですよ。これはすごいことだと思う。そういう姿勢にこそ僕は本当の大人を感じますね。

DVDには特典映像としてついてくるショートアニメやスタッフによるメイキング映像も本編劣らない見応えがあります。

とにかく誰もに勧められる映画です。特に毎年舞台演出に頭を悩ませているサークルの後輩の皆さんにはぜひ見てほしい。僕の言いたいことはすべてここにあるから。

もう1本の映画についてはまた後日。

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