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心と言葉のギア

  • 2009-03-22 (日)

今日コンビニでお茶を買ったときの話ですが、レジでお釣りを受け取るときに、店員さんが

「レシートはご入り用ですか」

と聞いてきました。

この微妙な間を文章で説明するのは非常に難しいのですが敢えて試みますね。店員がこの言葉を発し始めた段階で僕はすでにレシートを貰う手を差し出していて、店員はそれに気付いてレシートを渡してくれたのです。この時点で「レシートは」を発声し終えたぐらいのタイミング。そのあと僕が財布にレシートを差し入れる動作の間に「ご入り用ですか」が発されたわけ。

この微妙な違和感、分かりますか。レシートのやりとりが成立した時点で当初の言葉が果たすべき役割はもう終わっているわけですから、言い終える必要は全くなく、その時点で質問は中断すればいいのです。

「レシートは、、あ、はい、、、ありがとうございます。」

という感じが普通ね。

ほとんどの人は何も思わずスルーするようなことなのですが、池田レーダーは反応してしまいました。というのも職業柄この気持ちはすごくよく分かるからなのです。

勝手な表現ですが、こういうのを僕は「言葉を転がす」と呼んでいます。車を運転するときのイメージですね。車を加速させた後、アクセルから足を離して慣性で車を動かすのを「車を転がす」ってよく言うでしょ。これと同じことが言葉を発するときにも起きているように僕は感じています。

「思考」と「言葉」を別々に動く歯車のように考えてみてください。頭の中で言うべきことを考えることで「思考歯車」が動き、その動きがギアで伝達することで「言葉歯車」が動く。こんな具合に2つのギアがかみ合わさって言葉が口からでるという連想をすると、「言葉を転がす」って言うのは、ある程度「言葉歯車」が動き始めた時点でパッとギアを切り離してしまうことなのです。その後は思考とは連動せずに言葉が口から流れている。もちろんこれはコンマ何秒という短い時間の話ですが、こういう状態は確かにあると思うのです。

こういうことが特に起こりやすいのはしゃべりながら同時に何か別のことを考えているようなときです。先程のコンビニの店員もおそらくレシートを渡しながら、頭の中はすでに別のところに向いていたのでしょう。実は最近スタジオでの授業収録に関わることが多くなったのですが、ここではほぼ絶え間なくしゃべりながらも、次の段取りや立ち位置の確認、カンペのチャックなど様々なことを同時に考えなければなりません。こういう状況では一旦口から出始めた言葉を転がしておいて、その分意識を別の場所に向けることが必要になります。ある意味一つの技術とも言えるのですね。実は僕は割とこういうことが得意なのです。おそらくそれはテーブルマジックや大道芸などを通して身につけたことなんでしょうね。そういう経験がこういう場面で活きてくるのはなかなか面白いです。

ただ、あとで映像を見直して思うのはそういう投げ出された言葉って心なしかふわふわして聞こえる。やはり意識から切り離されたとたん人に訴えるエネルギーは失速していくのでしょうね。オバマ大統領の演説がものすごく力を持って聞こえるのは、心と言葉のギアががっちりとかみ合わさって発せられているから。あまり言葉を粗末にしてはいけないなと反省させられるところでもあります。

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