Home > 発見 > ココロのリズム

« 好きな言葉 (その9) | メイン | マジックアワー »

ココロのリズム

最近の録画機器の再生機能には2倍速モードというのが付いていますよね。物理的には再生速度が増せば音のピッチも高くなるので、昔はこれをやるとどんな渋い声もミニドラみたいになってしまったものですが、近頃の技術はそこをうまく処理して音程を変えないで速度だけを上げることができたりするのです。この機能は例えばニュースを録画しておいて後から聞くときなどには大変重宝します。2倍も速く原稿を読まれたら頭がついていけないのじゃないかと心配してしまいますが、これが慣れると意外と出来るものなのです。言葉の速度が2倍になれば頭の回転速度も2倍になるような感じで、しばらく聞いていると全く違和感を感じなくなります。逆にこれに慣れてから普通のニュースを聞くと読む速度が非常に遅く感じてしまう。高速道路から下りると普通道路の車の流れが非常に遅く感じてしまうのと同じですね。

ところが面白いことにこのモードで落語や漫才などのお笑い番組などを見るとやはり違和感はあるのですね。もちろん先と同じように言っていることは完全に聞き取れるのですが、それで笑えるかというと何故か笑えない。稲光に少し遅れて雷鳴が轟くような、頭に気持ちが追いついていっていないという感じです。思うに頭の処理能力の柔軟性に対して、感情の動く速度って人によっても状況によってもそれほど変わらないものなのでしょうね。欽ちゃんがコントを作るときコンマ一秒の間にまでこだわったという話を聞いたことがありますが、確かに笑いを生み出す間にはこれ以上長くても短くてもダメという正解があるように思えます。これは相対的なものではなく絶対的なもの、全体を同じ割合で速くしたとしても意味をなくしてしまう類のものです。お笑いに限らず舞台も映画も、あるいは曲や本の文章であってもそうなんだろうけど、作り手は常に人間の心の絶対的なリズム、与えた「情報」がしみこんで感情を刺激するまでの間、を見極めながら次の「情報」を並べていくものなんだなと改めて気がつきました。

単行本を30秒足らずで読み上げ、その内容をすらすらとしゃべってしまう速読の達人。あれも能力としてはものすごいなと思いますが、本当に筆者の意図した読み手の感情をすべて味わえているのかに僕はいつも疑問を感じてしまいます。ちょっともったいないなと。どんなに忙しくても、早送りしてはいけないものもきっとあるはずです。

今日の一言
鑑賞は単なる情報処理ではない

Comments:1

直樹 2008-08-07 (木) 19:15

はじめまして。もしかしたらどこかでお会いしたのかな・・・

僕は基本、本を読むのがあまり早くないのですが、周りの友人はすらすら読んでしまう人ばかりで、一種の劣等感のようなものを感じることがよくあります。自分も速読が出来たら・・・そんな風に思うことも結構あります。
でも、例えば小説ならば、せっかく現実から逃避(?)できる時間をそんな駆け足ですごしてしまうというのも、どうかなぁ・・・なんて思ったりも。
やっぱり、古臭い言葉ですが「臨機応変」、なんてものがどこにでも必要なんですよね、きっと。

Comment Form

コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。

Remember personal info

Home > 発見 > ココロのリズム

Search
Feeds

Page Top