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好きな言葉 (その8)

彼は数学をやるには想像力がなさすぎたんだ

20世紀の天才数学者ヒルベルトの言葉です。最近姿を見せなくなった学生を気にしたヒルベルトは彼の友達をつかまえて彼は今どうしているのかと尋ねます。

「彼なら学校をやめましたよ。自分は数学に向いていない、芸術家になるんだと言ってました。」

これに対してヒルベルトはこの言葉を返したと言います。

「そうか、彼には芸術家の方が向いているだろう。彼は数学をやるには想像力がなさすぎたんだ

胸のすく言葉だな。一般的に考えればこの言葉はまるっきり逆のような気がしますよね。数学者なんて小さな部屋に閉じこもって小難しい理屈ばかりこねる頭の固い人たちばかり。かたや芸術家といえばチョモランマより高くマリアナ海峡より深い想像力を持った人たちなんじゃないの、と。そんな固定観念を軽々とうっちゃって見せたヒルベルトの言葉に痛快さを禁じえません。

数学は答えが決まっていて、自由じゃないから嫌だなんて人がよくいますが、とんでもない。突飛なことを考えたり、世界を捻じ曲げたり、抽象化したりするのは芸術家も数学者も全く同じです。ただあえてそこに違いを見出すのであれば、数学は何を想像しても自由ですがそこに万人が納得できる理を作りだす義務が数学者自身にあります。理のない想像はファンタジーであっても数学ではない。それに対して芸術家は自分の想像した世界に対して最後まで責任を取る必要はないでしょ。つまり半分のことは鑑賞する側の想像力にゆだねてしまうことができるのです。これは芸術の深さでもあり、ある意味ずるさでもある。ヘリコプターから絵の具の入った瓶を地面に投げつけてこれが芸術だと言われても、そんなのやったもん勝ちじゃねえかって気はちょっとするのね。「爆発」なのか「暴発」なのか、その区別は極めて難しい。だから芸術家もどきの芸術家は数学者もどきの数学者よりたぶん圧倒的に多いはずです。それに対する皮肉もヒルベルトの言葉からは感じとれますね。

水が下から上に流れ、やかんを火にくべればたちまち凍りだし、西から上ったお日さまは東に沈む。そんな天才バカボン的世界を芸術家が想像するなら、そのありえない世界でおいしいオムレツを作るレシピを考えるのが数学者なのです。黙々と数式に向かい合うさえない男の中に奇抜なファッションで街を闊歩する芸術家もどきが束になったって敵うはずがない想像力が宿っている。自分が数学に関わっていることを誇らしく思わせてくれる大切な言葉です。

今日の一言
本物の数学は芸術的であり、本物の芸術は数学的である

Comments:1

ヒロ 2008-07-07 (月) 01:47

いいコトいうなぁ〜♪
ちなみに、数学者が作った現代曲があるのですが、
すっごくかっちょえぇですよ。
難しくて吹けないけど…(^^;)

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