- 2008-04-05 (土)
- 学問
「30円プラスでお飲物をLサイズに変更できますが、いかがなさいますか。」
こんなことを笑顔で言われるとそれほど喉が渇いていなくてもついサイズをアップしてしまう優柔不断な僕です。世の中は固い意志をぐらつかせようとする誘惑に満ち溢れています。
ところで数学の世界で「モンティーホールの問題」と呼ばれている有名問題があります。今日ひょんなことからこの問題の話題になったのですが、同僚の数学の先生に聞いてみても知らない人が意外と多いみたいです。なかなか興味深い問題なので紹介しておきますね。
■問題■
3つの箱が並べられており、その中に1つだけ景品の入った箱があります。あなたはテレビ番組の出演者でその景品の入った箱を当てようとしています。あなたは迷った挙句に箱のうちの1つを指差します。
そこで司会者は番組を盛り上げるための演出としてあなたが選ばなかった2つの箱のうちの1つを開け、それが空箱であることを示します。そしてあなたに悪魔のささやきをするのです。
「さあ、あなたは自分の選択をここで変えても構いませんよ。そのままの箱でいきますか。それとももう1つの箱に変えますか。」
さて、あなたはどうするべきでしょうか。
■ ■ ■ ■
この問題の答え方は次の2通りのどちらかになるでしょう。
1. そのままの箱でも別の箱に変えても当たる確率は全く変わらない。(それならば最初の箱のままでいい。)
2. 箱を変えたほうが当たる確率は高くなるので選ぶ箱を変える。
さあ、どちらだと思いますか。
この問題はかなり数学ができる人でも、いやむしろ数学ができる人ほど誤った答えを選んでしまう曰く付きの問題です。何を隠そうこの僕も最初にこの問題を聞いた時は何の躊躇もなく間違った答えをしてしまいました。
では答え。
答えは2の「選ぶ箱を変える」が正解。選ぶ箱を変えたほうが何と当たる確率が2倍も高くなります。この答えを聞いて意外な印象を受けた人は多いのではないでしょうか。
「初志貫徹」。周りの意見や途中の過程に惑わされず最初から最後まで一つの意志を貫いたほうが最終的には良い結果をもたらすという考え方が昔からあります。精神論としてはともかく、純粋に数学的に見たときこれが必ずしも正しくないことがあるのは興味深い事実なのです。
もうひとつこのような例も。通称、やぶ医者問題(笑)。
2種類の医薬品A, Bがありそれらの薬が患者に対して効く確率がそれぞれa%, b%であったとします。あなたは医者であり、やってくる患者に対してどちらかの薬を処方しますが、そのとき次のような方針をとります。「直前に患者に処方した薬がもし効いたならばその薬を次も使い、効かなかったのなら別の薬に変える」。さて、これを続けた場合あなたが処方する薬が効く確率は平均何%になるでしょうか。
感情的にはこんな究極の日和見主義がうまくいくはずがないと思ってしまいますが、数学的には成功率はa%とb%の平均(a+b)/2%よりも必ず高くなることが分かっています。それぞれの薬の効く確率が未知である場合にはこれは決して「悪くない」方針と言えるのです。
コーヒーか紅茶かが決められない、環状線で内回りで行くか外回りで行くかを迷ってしまう、街角アンケートを断りきれない、そんなあなたに朗報です。優柔不断だって数学的には立派な戦略のひとつなのです。
今日の一言
ラーメンセットにはチャーハンか、それとも天津飯か。
Comments:1
- 晟 2008-04-08 (火) 14:40
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はじめまして。数年前お世話になったものです。先生のおかげで大嫌いな数学が好きではないけど面白いなと思えるようになりました。いつもブログ楽しく読んでいます。お体にきをつけてがんばってください。