Home > しみじみ > これが私の優しさです

« クとケ | メイン | メッセージ »

これが私の優しさです

「イエスキリストは私たちの罪を背負って十字架にかけられました」

まるで卒業証書でも読み上げるかのような高らかな口調を響かせながら街宣車が走っていきます。何もこんな日にまでやらなくてもいいのにと思ってしまった自分に苦笑。あっ、そうか今日はもともとそういう日なのか。ホーリーかどうかはともかく決してサイレントではないクリスマスイブの神戸で昨日も夜まで仕事でした。

クリスマスには街に人が増えるからか献血や募金を呼びかける人の姿も多く、その横を大勢の幸せそうなカップルが素通りしていきます。この恒例の光景を見てサイモン&ガーファンクルの歌うクリスマスの定番曲「Silent Night」を思い出しました。2人のしっとりとしたハーモニーのバックにチューニングのずれたラジオみたいにぶつぶつ喋る人の声が入っているもの。これは決して電波の混線でもレコーディングの失敗でもなく、ポールサイモンが意図的に挿入した実際のテレビニュースの音声です。神聖なクリスマス曲とあまりに現実的なニュースを重ねることで世の中の理不尽を浮かび上がらせる、ポールサイモンらしいといえばらしい手法なのですが、残念ながら英語のさっぱり分からない日本人にとってはバックの声は辛気臭い雑音以外の何ものでもありません。いや、おそらく英語が分かる人にとってはもっと辛気臭いんだろうな。頼むから普通に美しく歌を聞かせてくれと思っている人は多いはず。

谷川俊太郎さんはこの光景を全く別の視点で切り取っています。

あなたが死にかけているときに
あなたについて考えないでいいですか

「これが私の優しさです」という詩の一節。

幸せの中にいる人にとって移植を必要とする子供がいる現実も、こんな日にまで働かなければならない予備校講師の愚痴もすべて耳障りな雑音にしか聞こえない。それはそれでしかるべき人間のあり様なのかもしれないな。誰だって人気のレストランでおいしい料理を食べている間は、その外に並んで待っている人の気持ちを考えることはしないもんね。

そういう人間の罪を背負うために今日はキリストが生まれた日なんです。別にキリスト教徒ではありませんが、とりあえずキリストに感謝。

今日の一言
クリスマスが誰の誕生日なのか知らない人は多いとかよく言うけど、その前日が誰の誕生日で休みなのかを知らない人はもっと多いんじゃないだろうか

Comments:2

sakaguchi 2007-12-27 (木) 21:30

サイモン&ガーファンクルの定番の歌に、そんな音声が入ってるとは知りませんでした。次回耳にしたときは注意して聞いてみます。
本当ジャンルを問わず、物知りですね。
遅ればせながら、メリークリスマス、そしてよいお年を!!

池田洋介 2007-12-28 (金) 10:36

「物知りとは5分前まで知らなかったことを、10年前から知っていたかのように話すことができる才能のことを言う」

と作家ディケンズが言っています。

なんて書くとすごく物知りっぽいでしょ。

ちなみに嘘です。上の言葉も僕が勝手に作りました。物知りとは平気で嘘をつける才能のことを言うのだと思います(笑)。

本文に登場するサイモン&ガーファンクルの曲は「7時のニュース/きよしこの夜」というタイトルだったと思います。ベスト版を買えば必ず付いてくるくらいの有名な曲ですので聴いてみてください。辛気臭いですから(笑)。

Comment Form

コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。

Remember personal info

Home > しみじみ > これが私の優しさです

Search
Feeds

Page Top