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投影

新しい物事に出会ったとき、それに対処するために今までに自分が体験したことや誰かから聞いた情報の中から似たような事例を探し出し、それを判断の基準にすることが良くあります。大人になって膨大な情報を短時間で手際よく処理することが求められるようになると、どうしても必要な資質になる。一列にずらりと並んだ問題に対して、これはこういうタイプ、こっちはこういうタイプみたいに分かりやすくラベルを貼り付けていくようなことがね。でもこういうのってよくよく注意しないと情報を吟味しないまま勝手な先入観をそこに投影させ、実態とはかけ離れたイメージを自分の中に作り出すことにもなりうる。

僕にとって身近な例をひとつあげると、たくさんの数学の答案を採点しているときに、答案を見て真っ先に頭に入ってくる情報って「内容」よりも「字のきれいさ」なんですよ。ただ「字がきれい」というだけで几帳面で聡明で性格までもが最高にいい人みたいなイメージが頭にできてしまう。そんな素敵な人が間違ったことを答案に書くはずがないと信じたくなっちゃうのですよ。逆に小学生みたいな稚拙な字で書きなぐられた答案をみるとそこに正しいことなんてひとつたりとも書いているはずがないと思えてくる。もちろん実際ちゃんと目を通してみるとそういう先入観が全くあてにならないことはすぐ分かるんだけどね。

高校生を平手打ちした警官に対する賛否が話題になっていますが、これだって僕らに伝わっているのはニュースからの断片的な情報だけで、実際のところその詳細はほとんど分かっていません。にもかかわらずこれほど警官を応援する人が多いのは、知らず知らずのうちにその高校生に「自己中心的で無軌道な若者」を投影し、警察官に「毅然とした態度の大人」を投影してしまう人が多いからなんだろうな。裏返せば世の中にいかに自分勝手な若者が多く、それを注意できなる大人が少ないかってことの表れでもあるんだけど。

人はときどき物事をあるがままにみるよりも先に、そうであって欲しいという目でみようとするものなのかもしれない。

今日の一言
1を聞いて10を知ったつもりになる

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