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Ikeda Yosuke Weblog

新しいホームページ始動

  • 2013-07-30 (火)

ホームページを新しくしました。
まだ微調整しておりますが、もうしばらくしたら落ち着くと思います。

ブログの方も再開しますので、よろしくお願いします。

意味怖話を作ってみた9

  • 2012-01-05 (木)

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妻とは大学で知り合い、就職1年目の春に結婚した。ほどなく妻の妊娠が分かり、私は1児の父となった。妻は早くに両親を亡くし、唯一の身寄りである兄に育てられた。その分家庭の暖かさに飢えていたのだろう。子供に対しても私に対しても妻は十分な愛情を注ぎ、私もそれにこたえた。親子3人の幸せな結婚生活は5年続いた。

5回目の結婚記念日だった。妻は妙に改まった口調で私に言った。「実はあなたに伝えなければならないことがあるの」。電話が鳴ったのはちょうどそのときだ。妻の兄が交通事故にあったことを知らせる警察からの一報だった。横断歩道をわたっているときに信号無視のトラックにはねられて即死だったという。それを聞いた妻の取り乱し方は尋常ではなかった。たった一人の身内を失ったのだから悲しむのは当然とも言えるが、妻の様子には明らかにそれだけではない"何かにおびえている"ような雰囲気が見えた。不審に思って問いつめたとき妻は信じられないこと口にした。

「お母さんがいまわの際にこう言っていたの。『私の家系は呪われている。私の血をひくものは一人が事故で死に、一人が自殺をし、一人は身内によって殺されるだろう』。普段オカルト的なことに興味のない母がそんなことを言ったのに驚いたけど、もちろんそんなこと誰も信じなかった。でも母の言った通り兄は事故で死んだ。あの呪いは本当だったのよ。」

それから妻は体調を崩しがちになった。終始何か思い詰めているような表情をしている妻に、私は呪いなんて単なる偶然だと言い聞かせたし、私自身もそう信じようとした。しかし数日後再び呪いは現実のものとなった。妻は病院からの帰り道に川に身を投げて命を絶ったのだ。

妻の葬式の間中、私は妻の母親の言葉を心の中で繰り返していた。
『一人が事故で死に、一人が自殺をし、一人は身内によって殺されるだろう』
私はぞっとした。この呪いはまだ終わっていないのだ。妻の母親の血をひくものはあと一人だけいる。私の息子だ。その息子が「身内に殺される」とすれば、、

私なのか。私が息子を殺すのか?

そんなことがあってはならない。
私は決意した。呪いに負けてたまるか。
どんなことがあっても息子は私が守り、最後まで責任を持って育てる。

******

50年後。私は死の床にあり、息子夫婦が私の最期を看取ろうとしていた。
母親がいない環境でつらいことも多かったはずだ。だが息子はまっすぐに育った。仕事にも恵まれ、幸せな家庭も持った。
私に思い残すことはない。結局呪いなどなかったのだ。

最後の意識の中で私は妻のことを思い出していた。妻はあの呪いを信じていたのだろうか。そうだとするとどうしても解せないことがある。妻は自ら命を絶つとき、最後に残った呪いが自分の夫や息子におよぶ可能性を考えなかったのだろうか。それに妻が気づかないはずがない。妻は私と息子を心から愛していたのだから。

ふと結婚記念日の妻の言葉がフラッシュバックする。妻はあの時何を伝えようとしていたのか。

そこで私は気づいてしまった。違う。呪いは確かに存在したのだ。彼女は私も息子も傷つかないですむ唯一の方法を選んだのだ。すべてを自分自身が引き受けることで。薄れいく景色が目から溢れ出す熱い涙で潤んだ。

私は妻に語りかけた。もうすぐそっちにいくよ。そしたらまた親子3人で暮らそうな。

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(以上の話はフィクションです)

意味怖話を作ってみた8

  • 2012-01-03 (火)

もはや意味怖ではないというのはさておき、、、

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Kは小学校では一番の親友だった。中学生の相撲大会で準優勝してしまうほど体格がよく、その一方で優しく頭の回転も速かった。教室に張られていたひらがなの50音表を見ながら変な言葉を作って遊んでいたのも彼だ。いいことがあったときは親指を上に立てて「しうさ〜」、悪いことがあったときは親指を下にして「こあつ〜」という具合。Kは僕だけにはその言葉の秘密を教えてくれたので、Kと僕はときどきその謎の言葉を言い合っては周囲がきょとんとするのを楽しんでいたものだ。

Kと僕は同じ中学に進学するはずだった、がそれは叶わなかった。彼が小6のときに父親の工務店の経営が危なくなり、Kは私立をあきらめ隣町の公立中学に進学したからだ。それ以来、Kと会うことはなくなったのだが、その公立中学のよくない噂はときどき耳にした。数ヶ月前その中学校内でのいじめを撮影した映像がネットに公開され、ネットが炎上したのは記憶に新しい。いじめに関わった生徒の個人情報が晒され、その生徒が退学処分になるほどの騒動に発展した。

Kが僕を隣町の公園に呼び出したのは突然のことだった。

久々の再会に喜びながら公園に到着すると、Kの横にはおびえた表情で立ち尽くす男子生徒の姿があった。その顔には覚えがあった。Aだ。小学校のクラスメイトだったが家がとんでもない金持ちで父親が地元の有力者、それをやたらひけらかすいけすかない奴で、Kと僕は彼の悪口を遠慮なく言い合っていたものだ。

「久しぶりだな、○○。お前Aのこと嫌いだったよな。ちょうどいい。今からこいつを殴らせてやるよ」

僕は耳を疑った。僕の知っているKは決して無意味な暴力を振るうようなやつではない。

「何いってんだよ。殴れるわけねえだろう。」

「ほう、お前こいつの味方なんだ。じゃあお前もこいつと一緒の目に遭わせて欲しいわけだ。」

Kの目は冗談を言っているようではなかった。僕は絶望的な気分になった。
あの優しかったKは中学校でいじめっ子になってしまったんだ。

「さあ、どうすんだよ。もう一回だけ言うからしっかり聞け」

Kは不敵な笑みを浮かべ、親指を下に向けた。そしてぞっとするほど冷たい声で一言ずつはっきり僕に言った。

「な・ぐ・れ」

次の瞬間、僕は彼に言われた通りのことをした。

すべてあとから分かったことだ。陰険なAらしい計画だった。そのとき周りにはその一部始終を撮影するAの仲間がいた。自分をわざと殴らせそれを撮影した映像をネットに公開する。それがどういう結果を生むかは言うまでもないことだろう。Kの親父はAの親父に多額の借金をしていたらしく、Kはそれをたてに脅されひと芝居を打たされていたというわけだ。

私はKに感謝しなければならない。
そんな状況にありながら、Kは私の親友であり続けたのだ。

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(以上の話はフィクションです)

ヒント(文字を反転させて読んでください)

彼の作った暗号の秘密はひらがなを50音順に1文字ずらして読むというものでいた。
親指の向きはそのずらす方向を表しているのです

意味怖話を作ってみた7

  • 2011-12-31 (土)

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僕たちが中学生になってすぐの頃、心霊写真ブームというのが起こった。
噂では幽霊というのは強い光に照らされて実体が浮かび上がるものらしく、夜の学校や公園でフラッシュ撮影するとそこに幽霊が映り込むことがあるのだという。

「今日の深夜に小学校に忍び込んで撮影会しねえか。」

と言い出したのは剛史だ。剛史は中学一年生にしてすでに学校の番長的存在。小学生のときに剛史にひどくいじめられた経験のある僕は常に剛史の後ろをついてまわっていた。剛史はその撮影会に舎弟の竜平を誘い、当然のように僕もそれにつきあうことになった。

深夜の小学校というのはそれだけでも不気味なものであるが、その不気味さをいっそう際立たせていたのはその日の暗雲が垂れ込める悪天候だ。時折遠くから聞こえる雷鳴に竜平は明らかにびびっていたし、剛史も口では強いことを言いながらも内心の動揺は隠せていない様子だった。二人は並んで先に進み、僕も黙ってそれに従った。沈黙に耐えかねて竜平が突然話を振る。

「確か誠と剛史って6年生のとき同じクラスだったんだよなぁ。」
「ああ、心の友ってやつだよ。」

よく言うよ。剛史のいじめはひどかった。一度など冗談半分で教室の二階から突き落とされたことがあるのだから。僕にとっては幽霊より剛史の方がよほど怖く感じる。剛史は廊下や階段に向けて何度もシャッターを切ったが、時折突然後ろを振り返り僕の方にカメラを向けるものだから、慌てて身をかがめなければならなかった。そのたびに剛史は

「誠、写真に入ってきたりすんなよ。」

と嫌な笑いを浮かべながら言った。

最後にたどりついたのは昔の教室だ。怖さも麻痺してきたせいか懐かしいという気持ちが先に立つ。剛史と竜平は何枚か写真を撮りながら、
「誠が落ちたのって確かここからだよ。あれは洒落にならなかったよなぁ」
などと軽口を叩いている。

まったく。冗談じゃない。
写真を撮り終え、二人は教室を出ようとしていた。
そのときちょっとしたいたずら心が芽生えた。
僕は窓に近寄り、わざと思いっきり音を立ててカーテンを開けた。

その音にびっくりして二人が振り返る。予想外だったのはタイミング良くそのとき近くに雷が落ちたことだ。稲光が教室の中を照らし、雷鳴がこだまする。

二人は僕の顔を見ていた。その顔がよほど怖く見えたのだろう。

「誠、、、おまえ。」
「ちがうんだ、、そんなつもりじゃなかったんだ。」

逃げていく二人の背中を追いかけながら、思った。やれやれ、ちょっとやり過ぎただろうか。剛史も大きな口を叩いていたが意外と臆病なんだな。

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意味怖話を作ったみた6

  • 2011-12-28 (水)

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私がはじめてブラジャーをつけたのはクラスが小学校の高学年になったときだ。もちろん自分で買いに行くのは恥ずかしいので、母親のものをこっそり拝借していた。

この時期の女子は急激に大人っぽくなるというが、とりわけ私のクラスの女子は「発育」が早かったように思う。まわりの女子がどんどんブラジャーをつけはじめるのを見て、それがどんなものなのか少なからず興味がわき始めていたし(もっとも私の胸はまったく膨らんではいなかったけど)、それをつけることで別の世界が開けるような期待もあった。

思えばあの「視線」もそのことがきっかけだったのかもしれない。

小学校の高学年クラスには副担任がつくことになっている。
副担任は教室の後ろに立って授業の補助をしたり生徒の個別指導をするのが役割だ。
私のクラスの副担任は50歳くらいのベテラン男性教師が務めることになった。

あるときから私は彼の目が教室の後ろからずっと私に注がれているのを感じるようになった。
さりげなく目を送るときには必ず副担任と目が合うのだ。
間違いなく彼は私を見ている。
まるで私のシャツの奥を見透かそうとしているようなぞっとする視線だった。
それは授業中だけにとどまらなかった。一度など私がトイレに入ろうとしているのを物陰から見ていたこともあった。

私はそれらをすべて気のせいだと思い込もうとしていた。あのとき彼の行動の意味をもう少し深く考えていれば事件は起きなかったのだ。

ある日、学校から帰ると玄関に見慣れない革靴が置かれていた。
居間に入ると母親と校長先生が神妙な顔で向かい合って座っていた。
母親が少しうわずった口調で言った。

「ここに座って。校長先生からお話があるそうよ。」

動揺を抑えて私は母親の隣に座った。校長先生はゆっくり言葉を選びながら話し始めた。

「実は今日学校の女子トイレでこれが見つかってね。」

それはデジタルビデオカメラだった。まさか、、、私は息が止まりそうになった。

「君にとってはつらい映像になるかもしれないが、これを見て欲しいんだ。」

嫌な予感は的中だった。再生された映像には女子トイレの個室にいる私の姿がばっちりと映っていたのだ。驚いたのはそれだけではない。私が個室から出て行って5分後に男性がそこに入ってきた。そこに映しだされていたのは間違えようもない副担任の顔だった。副担任は満足げにカメラに手を伸ばす。そこで映像は途切れていた。

「これはとてもデリケートな問題だ。学校としてもこのようなことを見逃すわけにはいかない。でも、そのためにはこの映像に映っているのが間違いなく君であることを君の口から警察に証言する必要があるんだ。分かるね」

母親が取り乱す。

「そんなことをしたらこの子は、この子は学校にはいられなくなります。なんとかならないんですか」

校長先生はためらいながら、しかしはっきりとした口調で言った。

「お母さんにとってもお子さんにとってもつらい気持ちは分かります。しかしこれは許し難い犯罪なんです。犯罪を犯した人には罪を償わせなければいけません。」

震えが止まらず、私はずっとうつむいてた。許せない。あの副担任はやっぱり私に目をつけていたのだ。

「一緒に警察に行ってくれるね。」

まだいろいろな感情が私の中で渦巻いていた。でも逃げるわけにはいかない。私は黙ってうなずいた。

次の日、新聞各社は学校の教師による不祥事をトップニュースで伝えた。

【トイレで盗撮未遂、犯人は担任の男性教諭】

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解説 (文字を反転させて読んでください)

副担任はずっと担任の男性教諭のことを怪しんでいました。
そして彼がトイレにカメラを仕掛けるのでないかと監視し、
その犯罪を未然で食い止めたのです。

副担任が担任を怪しみ始めたきっかけは彼のシャツからすけて見えるブラジャーです。
副担任はそれで担任が最近女子に興味を持ち始めたことに気づきました。

そうです。この文章の書き手はクラスの担任の男性教諭なのです。


意味怖話を作ってみた5

  • 2011-12-27 (火)

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落盤事故から2ヶ月。ついに救助カプセルの穴が貫通した。一人また一人と炭坑から救出されていく。炭坑の中はついに私とその男の2人だけになった。

男「本当に、、長かったな。お前がリーダーとしてみんなをまとめなければとっくに全員死んでいただろうよ」
私「お礼を言うのは俺の方だ。みんなは俺のことを頼もしいリーダーだ思っていたが違う。全員で1つの場所に集まって励まし合おうと言ったのも、残った食料を管理しようと言ったのも、もともとすべてお前の提案だ。生き残れたのはお前が必要なときに俺のそばで適切なアドバイスを出してくれたからなんだ。」
男「多分そんなふうに思ってくれてるのはお前だけだよ。」
私「お前は地味でほとんど誰とも会話しなかったからな。でも本当に感謝しているよ。」
男「炭坑の事故で誰かが死ぬのはもうごめんなんだ」
私「もしかして、こういう経験は初めてじゃないのか」
男「ああ、10年ほど前にな。悪夢だったよ。発狂するものも殺し合うものもいた。残りは全員餓えで死んでしまった。」
私「そうだったのか。でもそのときのお前の経験が役に立ったんだな。」
男「ほら、カプセルが到着したよ。お前が先に行ってくれ。俺は最後までここに残るよ。」
私「まったく、どこまでも控えめなやつだな。分かった、最後の大役はお前に譲ろう。」

男と固い握手を交わし、私はカプセルに乗り込んだ。動き出すカプセル。
私「早く仲間に会いたいな。」
男「ああ、俺もすぐに仲間に会いにいく。」
私「いいか。みんなが何と言おうと、ヒーローはお前だよ。」
男は黙って親指を立てて、にっこりと私に微笑んでくれた。

上っていくカプセルの中で私は泣いていた。
右手のひらに妙に冷たい感触がいつまでも残っていた。

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解説 (文字を反転させて読んでください。下に行くほど真相に近づきます。)


彼と握手をしたとき、彼の手がとても冷たいことを知りました。

そこで私は気がついてしまったのです。

何故、彼は誰とも会話しなかったのか。

それは、誰も彼のことが見えていなかったからです。

彼は10年前に炭鉱で死んだ男の霊でした。

意味怖話を作ってみた4

  • 2011-12-25 (日)

今回は短編小説っぽい作りを意識してみました。
長いので暇なときにゆっくり読んでみてください。

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ジリリリリ

黒電話の音が響いた。体がびくりと震える。まさか。一瞬の期待のあと慌ててそれを打ち消す。そんなはずないか。波打った気持ちを静め携帯の着信ボタンを押した。

「ああ、妹さんだね。お姉さんの下宿先の大家です。いま遺品整理の人がこの部屋を片付けていってね。お姉さんの荷物がまだ少し残っているから、いつでもいいから取りにおいで。」

******

姉が亡くなってから、いや、正確には殺されてからだけれど、もう2週間になる。親元を離れ、東京で一人暮らしを始めた矢先のことだ。姉が下宿先に選んだのは年老いた夫婦が運営をしている下町の古びた貸アパートだった。もう少しきれいなところに、と周囲は反対したのだけど、姉はそのアパートの純昭和的なたたずまいがとても気に入ったらしい。特に姉の心を動かしたのはその部屋に置かれていた黒電話だ。

「黒電話はええもんや。ダイヤルを回すカリカリいう感触も、妙にせわしなく鳴る呼鈴の音もうちにおうとる。『これは大事なことやで、よお考えなあかんで』って電話が一生懸命訴えとるような気がするんや。そや、これからこの電話であんたにも毎日電話したるわ。」

その言葉通り、姉は毎日のように私に電話をよこした。姉からの着信音には黒電話のジリリリリという音を登録しておいたのですぐにそれと分かった。電話の内容は今日の昼食の内訳やら東京と関西のテレビ番組の違いやら、ほとんどがたわいもないことばかり。慣れない都会暮らし、知り合いも少なく会話に飢えていたせいもあるのだろう。毎日何をそんなにしゃべったのか、今となってはほとんど思い出せないが、ただ1つ鮮明に記憶に残っているのは姉の口から例の「通り魔」の話題が出たときのことだ。

「なんや最近このあたりに通り魔がでるゆうてえらい騒いではるわ。聞いた話やとその通り魔には変な性癖があってな、ターゲットの部屋に侵入して首絞めて殺した後に部屋を掃除していきよんねんて。床や机だけやなくて、台所のコップや皿までピカピカ。現場には髪の毛一本、指紋のひとつも残っとらんから警察もなかなか捕まえられへん。几帳面な変態やで。ダスキンも真っ青や。やっぱ東京って怖いとこやな。」

姉は冗談めかして笑っていた。

ジリリリリ

その日の電話はずいぶん遅いな、と思った。飲み歩く友達でもできたのかしら。そんなことを思いながら出た電話の先には震える大家の声があった。

「○○さんの親族の方ですか。たった今、、○○さんの部屋に入ったのですが、、とにかく、、すぐに来ていただけませんか。」

大家は詳しくは何も言わなかったが、私は事情を察した。姉の緊急連絡先は私だ。そしていま大家が姉の部屋から私に電話をしている。姉の身に何かが起こった、そうとしか考えられない。私は最終の新幹線に飛び乗った。

私が到着したときには既に警察の現場検証が始まっていた。姉の部屋に通された私が目にしたのは、変わり果てた姉の姿とうろたえる大家、そして異様なほど整理整頓された部屋の様子だった。

手口からみて最近騒がれている通り魔の犯行とみて間違いないらしい。警察の懸命の現場検証でも部屋に遺留品は見つからず、部屋の指紋は姉のものを含めすべてきれいに拭き取られていたという。目撃者もなし。開けっ放しのドアから明かりが漏れているのを不審に思った大家が部屋をのぞかなければ発見はもっと遅れていたかもしれないとのことだ。最後に警察から聞かされた言葉は今思い返してもぞっとする。

「こういう犯罪を犯す人は変質者でもあり同時に高い知能も持っている。だから味をしめて何度も犯行を繰り返す。現場に行った君も顔を見られていないとは言えない。十分注意することだね。」

***

壁のカレンダーに目をやり、あれからもう2週間も過ぎたことに今更ながら驚く。姉の死を受け入れることができず抜け殻のように過ごしてきた日々。しっかりしないと。もうそろそろ自分を取り戻さないといけない頃だ。

「分かりました。明日にでも向かいます。姉の部屋を見ることで私の心も整理できると思います。」

大家さんからの電話を切る。不思議なものだ。立ち直るきっかけをくれたも姉の好きだった黒電話の「ジリリリリ」の音なんて。姉はどこかで私を見守ってくれている。そんな気がしてならない。ふと、姉の言葉を思い出す。

『これは大事なことやで、よお考えなあかんで』

その言葉が何度も何度も心にこだまする。

いろいろな人の言葉、黒電話の音、、次々と頭の中でつながっていく。
私はすべての真相を理解した。

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解説 (文字を反転させて読んでください。下に行くほど真相に近づきます。)


妹は黒電話がこの事件の真相を教えてくれることに気がついたのです。

大家さんは死体を発見してすぐに姉の黒電話から妹の携帯に連絡を入れています。
それが犯人が去った後であれば黒電話には大家の指紋が残っていなければなりません。
ところが現場検証では部屋からは指紋が全く発見されなかったのです。
その指紋は誰が拭き取ったのでしょう。

それができるのは大家しかいません。
つまり大家がこの通り魔の正体なのです。

さらに妹は大家がこの電話に触ったことを知っている唯一の人物です。
つまり大家は妹も殺そうとして部屋に呼び寄せている可能性があります。


意味怖話を作ってみた3

  • 2011-12-20 (火)

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Twitter
のぶゆき(@Nobu)のある日の深夜0:45〜1:00のタイムライン。
読みやすさを考えて、ツイートは上から下に時系列に並べられています。
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Kaori かおり
東京駅で迷ってる。同じ場所を行ったり来たり。終電もうすぐなのに。

Nobu のぶゆき
東京駅ってこんな時間まで電車あるんだな。

Yuko ゆうこ
東京駅いるの〜。私もだよ〜。いまひとりなの?

Kaori かおり
気づいたらひとりきり。もう、お母さんなんで私おいて先にいっちゃうのよ。

Yuko ゆうこ
ひとりだったら合流しようよ。ホームに立ち食いの店あるでしょ。そこで隆と2人で時間つぶしてるんだ。来なよ。

Kaori かおり
いきたい気持ちはあるんだけど、お母さんを一人にさせられないよ。

Yuko ゆうこ
大丈夫だって、終電まで10分くらいはあるでしょ。

Nobu のぶゆき
あれ、おまえらそんなに仲良かったっけ。

Kaori かおり
そうだよ。ずっと仲良しだったんだよ。

Yuko ゆうこ
腐れ縁ってやつかな。じゃないと駅の立ち食いなんかに誘わないって。で、来れそう?

Kaori かおり
とりあえずホームにはついた。でもそこに飛び込む勇気がでない。

Yuko ゆうこ
隆のことなら気にしなくていいよ。にぎやかな方が喜ぶし。
うわ〜。よそ見してたら隆が私のきつねそばに唐辛子を山盛り入れてきたんだけど。

Nobu のぶゆき
辛そうだね。

Kaori かおり
うん、そりゃ辛いよ。

Yuko ゆうこ
むかついたから仕返しに全部食べさせた。ははは、ひどい顔してもがいてる。
わたしこいつのこういうとこ好きなんだよね。落ち着くっていうか。
今の彼氏と別れてこいつとつきあった方がいいのかな(笑)。

Kaori かおり
邪魔になるのもいやだし、やっぱ私消えることにするわ。

Nobu のぶゆき
そのほうがいいかもね。

Yuko ゆうこ
ちょっ、いま隆が真顔で告白してきたんだけど。
終電をスルーして、お前の部屋に泊めてくれとか。まじ勘弁。

Kaori かおり
とめないの?

Yuko ゆうこ
まだ前の彼のことも整理できてないし。

Nobu のぶゆき
まあそんな事情なら、とめないほうがいいだろうね。

Kaori かおり
あ、もう電車くる時間。
じゃあ、わたしいくわ。ばいばい。

Yuko ゆうこ
で結局@Nobuは来るの。

Nobu のぶゆき
俺がいけるわけねえだろう。俺は家にいるんだから。

Yuko ゆうこ
あれ、東京駅にいるんだと思ってた。

Nobu のぶゆき
でも俺も@Kaoriが@Yukoとそんなに仲良かったとは知らなかったよ。あいつ一人で身内の看病とかして、最近悩んでるみたいだし、相談に乗ったげてくれよな。

Yuko ゆうこ
え、@Kaoriってだれ。

Nobu のぶゆき
何言ってんだよ。今まで3人で話してたじゃん。

Yuko ゆうこ
ううん。私は@Nobuと2人で話してたんだけど。

Nobu のぶゆき
かおり@Kaoriのことフォローしてないの?

Yuko ゆうこ
だからそれ誰だって。あれ、なんか妙にホームが騒がしくなった。何かあったのかな。
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意味怖話を作ってみた2

  • 2011-12-14 (水)

リクエストにお答えしてもうひとつ考えてみました。
シンプルだけど、こういう感じの話が僕は好きです。

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俺よくiPodをイヤホンで聞きながら散歩するんだけど、
ランダム再生してると、ときどき狙ってるんじゃないかと思うくらい今の状況にはまる曲が流れてくることがあるよね。

この間もさ、夜にうす暗い通りを歩いているときに偶然流れてきたのが
「世にも奇妙な物語」のテーマ。
それだけでもなんか嫌じゃん。
でもさらにそのタイミングで向こうから人が歩いてくるわけ。

あんまりに雰囲気できすぎてたから冗談半分に
「ひょっとしてあの人はこの世の人ではないかも」
なんて考えてみたの。

そしたらその人とすれ違うとき、その人が小声でぼそっと言うのが聞こえたんだよ。
「よく分かったな」
もう心臓止まりそうになってさ。

でも勇気出して振り返ったら、、

なんとそいつ携帯で誰かと話しながら歩いてたってオチ。

まあ、世の中の怖い話のからくりって案外そういうものかもしれないよな。

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解説 (文字を反転させて読んでください)


イヤホンをしていた彼は
どうして小声のつぶやきを聞くことができたのでしょうか。

意味怖話を作ってみた1

  • 2011-12-13 (火)

意味が分かるとぞっとする話。結構好きなので、自分でも作ってみました。お楽しみください。

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浮気をしたのが彼女にばれて2週間。ずっと連絡がなかった彼女がやっと部屋にあげてくれた。でもお互い気まずくて一言も口をきけないまま時間だけが過ぎていく。僕はその空気に耐えられなくなってトイレに逃げ込んだ。ふと脇を見るとトイレットペーパーの端にペンで「真美より」と書いてあった。なんだろう。どきどきしながら紙を引き出すと、そこに彼女からのメッセージが書き込まれていた。メッセージは何行にもわたっていた。僕は紙を1行ずつ引っ張り出しながら噛みしめるように読んでいった。

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真美より

あなたは私を裏切った それは事実
でももうすべてリセットしていいと思うの
あなたと過ごした宝物のような日々
それが私にとって大切だと気づいたから
なにもかもぶち壊してしまうこと
許されないことだもんね
あなたが浮気していたことは
全部忘れてしまえるわ あの娘と
あなたとの関係もこれで帳消しってこと
にしてあげる お互いつらかったよね 私と
あなたはもう十分に苦しんだからこれから楽
しんじゃおうよ 一緒にね

隆史へ
////////////////////

涙があふれてきた。いま扉の外に真美が待っている気配がする。
はやく出て行って彼女を抱きしめてあげよう。

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解説 (文字を反転させて読んでください。下に行くほど真相に近づきます。)


彼がどのようにして文章を読んだのかをよく考えて見ましょう。

彼はトイレットペーパーに書かれた文字を下から上に読んで行ったのです。
それは彼女が意図していた読み順ではありませんでした。

本当は彼女は上から下にと文章を書いたのです。
正しい順序で文章を読み直せば次のようになります。


隆史へ

しんじゃおうよ 一緒にね
あなたはもう十分に苦しんだからこれから楽
にしてあげる お互いつらかったよね 私と
あなたとの関係もこれで帳消しってこと
全部忘れてしまえるわ あの娘と
あなたが浮気していたことは
許されないことだもんね
なにもかもぶち壊してしまうこと
それが私にとって大切だと気づいたから
あなたと過ごした宝物のような日々
でももうすべてリセットしていいと思うの
あなたは私を裏切った それは事実

真美より

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