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トポロジー

位相幾何学。

すべての物体が無限に伸縮できるゴムのような素材でできているとして、その素材を伸ばしたり縮めたりして(切ってはダメ)お互い移りあう形はすべて同じものであるとみなしてしまおう、というよく言えば大胆、悪く言えば大雑把な幾何学。トポロジーの世界ではコーヒーカップがドーナツになったり、めがねのフレームがトートバッグになったり、トラがバターになったりする。

このような「ぐにゃぐにゃ」の世界では通常の幾何学では最も重要視される長さ、角度、面積、体積といった量が完全に意味を持たなくなる。そんな幾何学にどれほどの価値があるのかと疑問に感じるかもしれないが、意外にも応用は広い。例えばコンピューターネットワークの世界ではコンピューター同士のつながり方だけが重要で、それが同じであれば隣の部屋にあるパソコンも地球の反対側にあるパソコンも全く同等の意味を持ってしまう。実際の距離の違いを意識しないコンピューターネットワークの世界はまさしくトポロジーなのである。

表面的な情報を大胆に切り捨て、その奥に潜む本質に目を向けるという斬新なアイデアと、その神秘的な言葉の響きは非数学者にも受け入れられ、日常生活の中でもしばしば耳にするようになった。言うだけでかっこよく見えてしまう言葉なので是非折に触れて使ってみよう。

使用例1 (知恵の輪が解けない言い訳として)
「いや、トポロジー的には解けてるんだけどね。」

使用例2 (「風水」的なニュアンスをこめて)
「そこに赤色の家具を置くのはトポロジー的に良くない。」