池田洋介日記帳
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2003年6月1日(日) 発声
パフォーマーも講師も、どちらも言葉を話し何かを伝えなければならないということに関して同じです。それなのに発声に関するトレーニングというのは今までほとんどしてきてなかったなと最近気づきました。ってわけで実はこっそりヴォイストレーニングをやっています。

といってもいきなり演劇部のように
「あ、え、い、う、・・・・」
とかやるのもまだ恥ずかしいので、まずは基本の呼吸や共鳴のトレーニングなんかです。

やってみて気づいたのですがヴォイストレーニングをはじめると、自分が普段いかに言葉をおろそかに扱っているかということに気づかされます。例えば牛丼屋さんで食事を終えて店の人にお勘定をお願いするとき「ごちそうさまです」といっても、お店の人が気づいてくれなかったり、振り向いてくれてもお勘定だということがすぐに分かってもらえなかったりすることが今までにもありました。その理由は声の大きさではなく「ごちそうさまです」という言葉が「・・そうさまです」のように崩れていたり、ただ漫然と空間に散らばってその人に届いていないというのが主な理由だったんだなと気づきました。ほんの少し発声を意識するだけで、驚くほどの効果があります。やはりこういう何気ない生活の場面で言葉を大切にしていかなければなと思います。

さらにより実践的なトレーニングとして音読を始めました。題材は谷川俊太郎さんの詩集。やはり日本語のうまみを知り尽くした人の言葉は何度読んでも本当に気持ちがいいです。ちょっと前に「声に出して読みたい日本語」という本がブームになりましたが、良い日本語は黙読ではなく是非声に出して読むべき。やりだすとちょっとはまってしまいます。みなさんも是非どうぞ。
2003年6月2日(月) 本から学べること
僕は何か新しいことをやろうというときまず何よりそのことに関して書かれた本を探します。実際マジックもジャグリングもパントマイムも、僕はすべて本から覚えました。

近くに専門家がいようと、どんなよいビデオがあろうと、何らかのノウハウを伝えるうえでの最高の媒体は書籍であるというのが僕の持論です。ちなみに個人的な好みをいえばその本は分厚いほうが好ましい。誰でもできる、1週間で習得できるなどをうたい文句にしている本は信用しません。面白いことにある程度確立されたすべての分野には、その道のバイブルと呼ばれる良書が存在します。それを見つけて徹底的に熟読する。これが僕流の学び方です。

まず本とはその道を究めた人が長い時間を費やし、何度も推敲を重ねて書いたものであるということ。誰しも文章を書くときには必要な情報はすべて書こうとする一方、知識をできる限り体系化しようとします。どんな優れた講師でも限られた時間の中で自分の考えをすべて伝えることは不可能ですが、本ならそれができますし、読むほうも理解できるまでそれを読み直すことができます。実際の動きは直に見たほうが分かりやすいという意見もあるでしょうが、これはあくまで表面的な話で、特にマイムやダンスなどでは見た目の動きより、正しいイメージを持つことの方がよほど重要です。

本において、伝える側は自分のやっていることを正しいイメージに置き換え、それを文章にしなければなりません。そして受け取る側はその文章からイメージを理解し実際の動きを構築していかなければいけません。一見回りくどく見えるこの過程は実は本質的なことを伝えるもっとも有効なプロセスであると僕は思うのです。

ちなみに僕の思う良書はマジックなら「ターベルコースインマジック」。パントマイムなら「THE MIME BOOK(邦訳パントマイムのすべて)」。ジャグリングなら「Encyclopaedia of Ball Juggling(邦訳ボールジャグリング百科)」「Compendium of Club Juggling」というところでしょうか。前者ふたつはすでに古典ですが、まさにバイブルというにふさわしい名著です。「Encyclopaedia of Ball Juggling」はおそらく誰よりも熟読している自信があります。

ジャグリングでもなんでも、これから何か新しいことをはじめようという人に年寄りくさくアドバイスをするなら、すぐに人に聞いたり、中途半端にうまい人の物まねをしようとするのではなく、一流の人が書いた本を読みましょう。これに尽きます。
2003年6月8日(日) 
哲学の道の蛍を見に行きました。京都には長い間住んでいましたが見に行くのは初めて。それほど期待せずに見に行ったのですが、予想よりはるかにたくさんの数の蛍が飛び交っていて、かなりよかったです。「夏は夜、闇もなお蛍の多く飛びちがいたる」といった清少納言の気持ちが良く分かります。

しかし蛍以上に人の数が多かった。まあ、それはいいのだが中には携帯電話で蛍をフラッシュ撮影していたり、中には懐中電灯で蛍を照らしたりしている人がいてこれはかなり興ざめでした。こういう行為をしている人の意味が分からない。蛍の光というのは闇の中でこそ意味のあるものでしょう。光っていない蛍を写真撮影したってタダの虫だぞ。

まあ、とかなんとかいいながらも、光る蛍をみて「うーん、たくさん発情しているな。」とか「熱効率がよさそうだなー。」とか言ってた我ら京大生軍団も趣というものとは十分縁が無い気もしたり、しなかったり。
2003年6月9日(月) 悲しいとき
悲しいとき。
「そこどきなさい!」と切れ気味の口調で叫びながら走り去る救急車を見たとき。

家の近くに病院があるのでよく救急車を見かけます。救急車を見たらすぐに車を止め、救急車に道を譲らなければいけないというのが社会のルールです。人命を扱っている以上これは当然のことです。

しかしどんなに正しいことでも、いやむしろ正しいことであればあるほど言い方によっては人の感情を逆なでするものだというのも一つの事実なのです。救急車からずいぶん高飛車な命令口調のアナウンスをしているのを見かけることがあるのですが、つくづくプロ意識に欠いた行為だなと感じて悲しくなってしまいます。それが運転者の気持ちを逆なでして「誰が譲ってやるもんか。」という気にさせてしまったら、それは結果的に時間を無駄にしてしまうことになるのですから。

絶対的に正しい(と思われている)ことを発言するときほど、丁寧に相手の気持ちを配慮して言わなかきゃね。吉野弘さんの祝婚歌という詩の一節を思い出します。

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
2003年6月12日(木) ロースクール
ロースクールというのが今年から始まるのをご存知でしょうか。

っていうか僕も知らなかったのですが、法科大学院というのができるらしく、それに入るために大学入試のセンター試験に相当する試験を受けなければいけません。そこでは法律のことのみならず、いわゆる一般知能的な問題が出題されます。その講座が今週から始まりました。何しろ今年初めてのことで過去問も何もないわけですから、教えるほうも手探り状態です。

今日は最初の授業だったのですが、驚いたことに60人ほど入る教室が満員でした。さらに驚いたことはかなり年配の方もたくさんいたということ。サラリーマンをやめてもう一度大学を目指そうという方たちなのでしょうか。授業を受ける目も真剣で久々に授業をしながら緊張してしまいました。

人生においてはるかに先輩にあたる方々が、僕のような若輩者にまで丁寧語を使って一生懸命質問している姿は本当に申し訳ないというか、頭が下がる思いでした。

こないだやったのは論理に関するお話。PならばQであるという命題を検証するとき、たとえこの命題が正しくても反証が見つかってしまう可能性があるのは1,2のどちらのケースでしょう?
1.Pでないものpを誤ってPだとみなしてしまった場合。
2.Qでないものqを誤ってQだとみなしてしまった場合。
分かりますか?
2003年6月14日(土) 素敵な論理学
強いから勝つのではない、勝つから強いのだ。

とは勝負事の世界でよく聞く言葉です。なかなかかっこいい言葉ですが、これを論理学的に考えると「勝つ⇒強い」は成り立つが、「強い⇒勝つ」は成り立たないということです。

この主張が正しいとすると、年がら年中負けてばかりいる人だからといって弱い人とはいえないということになります。これは素敵な言い訳になりますね。

「よく言うじゃないか。負けるから弱いのではない(と同値なことを!)。」と。

是非ジーコに教えてあげよう。
2003年6月17日(火) 専用車両
女性専用車両というのが阪急で導入されてから1年近くが立ちますが、最近新しい専用車両が阪急電車に増えました。「携帯電話の電源をOFFにする専用車両」。先頭と最後尾の2両の車両に終日導入されています。これも裏を返せば、どんなに呼びかけても携帯電話の電源を切るという習慣が定着していないことの表れのような気がしますが、これってある意味阪急電車側の譲歩のようにも思えます。「この車両では携帯電話の電源OFFにしなさい」っていうことは、それ以外の車両ではまあ仕方ないから認めるよっていうことなのかな。

ずっと以前にも書いた気がしますが(こちら)携帯電話のもたらす電波障害みたいなものに僕はいまだに懐疑的なのです。だって携帯電話が普及してもうかなり経つのに実際携帯電話の電波で機械が誤作動したり、重大な事故がおきたという話を全く聞かないですから。「電波は怖い」論も携帯の普及し始めたころにはあれほど議論されていたのに、今ではすっかり影をひそめてしまっています。

「心臓のペースメーカーに影響を及ぼすので」「病院の精密機械が誤作動するので」「飛行機の通信に障害を与えるので」。どれも携帯電話の電源をOFFにさせるのに使われる呼びかけ文句ですが、もしこれが真実ならば呼びかけるだけでは不十分だろう。電車に乗る人、病院に入る人、飛行機に搭乗する人の携帯をきちんとチェックして全員の電源をOFFにさせるちゃんとしたシステムを作らなくては。そういう対処もせず、きちんとした裏づけもない情報を脅迫のように流して社会のルールみたいにしてしまうのはどうも釈然としません。

携帯電話をかけていても、回りの人の邪魔にならないように小さな声で話しているなら別に不快ではないし(それがダメだって言うのなら、車内での会話はすべて禁止にしなければなりません)、携帯電話に関係なく大声で話していている人や、走り回っている子供(かつそれを注意しない親)は不快です。結局車内でのマナーを守ろうってこと。じゃあ、最初からそうアナウンスすればいいのです。

結論を言うと「携帯OFF車両」はいい試みなのではないのかと。電源を切りたくない人は乗らなければいいのだし、ペースメーカーを利用していて電波が気になる人はこの車両にのればいいのだし。無条件にOFFにするなんてよりずっと民主的です。そして、それ以外の車両では携帯はマナーを守って使いましょう。そうなればいいと思います。
2003年6月23日(月) スピログラフ
昔、文房具屋でスピログラフというおもちゃが売られていました。プラスティックの板が円形にくりぬかれていて、その中に歯車のついた円盤をはめます。円盤には穴が開けられていて、そこに鉛筆を差し込んでくるくると回すと、非常にきれいな幾何学的花模様がかけるというものです。土台となる板をしっかり手で押さえておかないとすぐにぶれてしまうので、きれいに書くのはかなり根気が必要です。でもこれがなかなか楽しくて、昔これを買って中学校に持っていったらたちまちクラスの人気者になった思い出があります。

この図形は数学でいうと内トロコイドと言われる曲線で、数学の題材としてはなかなか面白いものです。平面曲線の勉強になるのはもちろん、どうやって複雑な(単純な周期では終わらない)図形を書くかを考えていくと整数論までつながっていきます。

ってわけでぜひともこれを授業に取り入れようと、このおもちゃを探すのですが、どこに行っても売っていないのです。昔は小学生が集まるような駄菓子屋にだって売っていたものですが、今の世の中、大手の百貨店に行っても扱っていない。どうやら製造自体をしていないらしいです。まあ、確かに今はそんなのパソコンがあっという間に書いてくれるんだけど。子供が直に遊べ、楽しみながらも高等数学に触れていくことができる、こんな素敵なおもちゃが消えていくのは非常に悲しむべきことですね。

しかしないといわれるとどうしても探したくなるのが僕の性格。ひょっとしたらどこかの駄菓子屋の奥にまだ眠ってかもしれません。なんとしても探し出してやる。どこかで売っているのを見かけたら是非ご一報ください。


2003年6月26日(木) 続スピログラフ
前回日記に書いたら何人かの人から情報がとどきました。
徳重さん情報によると(ありがとうございます!)ネットでも売っているようです。

http://www.carayoko.com/window/item/4136.html

しかし50円とは安い。昔は1000円くらいしたのですが。

実は家から割と近いところにおもちゃ問屋を発見し、そこで尋ねたところ、ちゃんと売っていました。上のやつと同じもので45円。これはと思って10個まとめ買いしちゃいました。

で、今日はさっそくひとしきりこのおもちゃで遊びましたとさ。うーん、やっぱり面白いし、きれいに模様が完成すると感動します。どのような模様ができるかは外側の円の歯車と、内側の円の歯車の数の比できまるのですが、複雑な模様ができるようにすべてこの比は互いに素な整数比になるように作られているようです。(そうすると外側の歯車の数と同じだけの花びらができます。これはまさに整数論の初歩ですね。)

その辺は良く考えられているのですが、ただ外側の円が小さいため、ボールペンで書いていると小さな花はほとんど真っ黒に塗りつぶされてしまうのが難点です。せめてもう少し大きな円だとありがたいのですが。それと折角いくつかの歯車を作るなら、互いに素ではない歯車比のものを入れて欲しかった。あと円の外側を回るようなものもあれば面白いですね。

遊んでいると何かと欲がでてくるもので。
また別のタイプがないかいろいろ探してみようっと。
2003年6月29日(日) iPod
iPodを買ってしまいました。

といっても別にAppleに乗り換えたわけではありません。Windowsでも使えるのです。で、使ってみてこれはとっても便利!ちょっと感動しました。

なんといってもすごいのは転送速度。CD1枚分が十数秒でiPodの中に収まってしまう。パフォーマンスで使う音楽をよくパソコンで作りますが、フリをあててみてまた作り変えるという作業を何十回も繰り返します。その度にMDに落とすのは大変だったけど、これならmp3で作ってあっという間に転送できる。容量も10GBあるので、2000曲以上がこの薄さの中に収まってしまう。なーんてすばらしい。

ちょっとAppleの回し者になってしまいましたが、なかなかいいもの作ってますね。
yosuke@juggling-donuts.org
 
 
 

Akiary v.0.42