池田洋介日記帳
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2002年2月1日(金) はじまりの3分間
現在公務員講座で自然科学のシリーズを教えているのですが、公務員の自然科学は物理、化学、生物、地学、数学のあらゆる分野から広く浅い知識が出題されるので、教えるほうも大変です。しかも僕は高校で生物と地学を全く勉強していないので、今高校の参考書を買ってきてまるで受験生のように勉強しているのです。

僕はたった今仕入れてきた知識をさも昔から知っていることのように人に説明するのはとってもうまいです。授業で僕が説明していることのほとんどはつい2時間前までは僕も知らなかったなんてこともざらにあるのです。ははは、受講生はそんなことは夢にも思ってないだろうな。。新しい知識を自分なりにすばやく整理して吸収する能力は我ながら高いですよ。

今日は明日説明する「宇宙の進化」についてのお勉強。インターネットで"宇宙背景放射"というものが何なのかを始めて勉強しました。宇宙の始まりを調べるのに非常に重要なことなのだそうです。驚いたことに現在理論によると宇宙の始まりといわれる"ビッグバン"から100分の1秒後の宇宙の状態までは理論的に考えられているのだそうです。そしてそれからわずか3分間で宇宙の基礎は誕生したと言われています。

3分間

まさにカップ麺ができる時間

3分46秒後には原子核が構成され、34分40秒後に宇宙を構成している物質である水素とヘリウムが出来上がりました。何億光年という計り知れない空間と時間のスケールの宇宙の話が、まるで電子レンジで何かを作るときと同じような単位で語られることにちょっとショックを受けませんか?150億光年の宇宙の果てに届こうとする人類の挑戦は、実は宇宙の始まりに時間を遡る旅ともいえます。
2002年2月2日(土) 一応解答
どうやら算数の問題をちゃんと解いてくれている人がいるみたいなので、出しっぱなしではなくちゃんと解説しておきましょう。多いので日記のネタがないときにでも少しずつ。とりあえず2日前の日記で書いた類題の解答を

第1問は本質的に6角形問題と全く同じ問題です。常に自分とピラミッドを結ぶ直線から左方向に60°の角度を保つようにして進んでいくのですから、ピラミッドに近づく速さの成分は歩く速さの半分です。つまり直線で歩くより2倍の時間がかかるわけです。よって歩く距離は2倍になります。


第2問は有名な数学パズルです。犬の進む距離が最初は何メートルで、2回目は何メートルでと計算するとこの足し算は無限に続いて泥沼になります。実はこの問題も発想を転換して時間に注目するとあっという間に答えがでます。太郎君とお父さんは100mの距離を3m/sと2m/sで向かい合って進むのですから2人が出会うまでの時間は

100÷(3+2)=20秒

この間犬はずっと10m/sで走りつづけるのですから進む距離は

10×20=200m

となるわけです。すばらしくエレガントな解答ですね。何かの本で読んだのですがこの問題には逸話があります。ある有名な数学者に生徒がこの問題を出題したそうです。そうすると数学者は少し考えてたちどころに答えをだしてしまいました。それに生徒は感心して「さすが、先生。あっというまに等比級数を使わない解き方を思いつかれたんですね!」と言ったら、その数学者は平然とした顔をして答えました。「いや、私は等比級数の計算を暗算でやってしまったんだけど。」

さてパズル集の第7問を解説しておきましょう。僕の好きな問題のひとつです。一見あたりまえのようですが"そういうことが絶対に起こらない"ということを証明することほど難しいことはありません。

証明のアイデアはとっても簡単です。

まず一辺1の三角形の内部に2つの点があればその距離は絶対に1より小さくなることは明らかに成り立つものとしましょう。(厳密には証明がいるかもしれませんが、それはお任せします。)このことを踏まえて一辺2の三角形を下のように4つの正三角形の部屋に分けます。



さて次の論理展開がこの問題の一番のポイント。

※三角形の内部に5つの点があれば、少なくとも1つの部屋には2つ以上の点が入っているはずである。

したがってその2点の距離は1より小さいはずですから証明終わりです。

(※)は数学では部屋割り論法と言われている有名な論理です。5人を4つの部屋に押し込めようとすると、少なくとも1部屋は相部屋になるものがあるというもの。相部屋になるのが誰なのかは全く分かりませんが、必ずそういうものがあることだけはいえるのです。別の例を言えば13人いれば少なくとも1組は生まれた月が同じペアがいる。日本人の中には少なくとも1組は髪の毛の本数がぴったり同じ人がいる(なぜなら髪の毛の本数は1億3000万本より少ないからです)という論理です。面白いでしょ。これは大学の代数学にも出てくるようなとっても奇妙で重要な論法なのです。

例えば下のような命題を証明することはできるでしょうか?

100個の正の整数があったとき、その差が99の倍数であるような2つの数が少なくとも1つは存在する

それでは今日の授業はこの辺で(笑)
2002年2月3日(日) Subway
今日いつもたむろしている新京極のSubwayに行ったら、1月27日付で閉店の張り紙がしてありました。うーん、確かに立地条件がいい割にいつもがらがらだったからな。だからこそ気兼ねなくコーヒー1杯で何時間もすごせていたんだけど。

あわただしい繁華街にあって、安らぎとちょっとした優越感を得られる憩いの場だっただけにとっても残念です。こんなことならもっとサンドイッチとか注文してあげるんだったな。
2002年2月4日(月) 風邪
僕はそれほど病弱というわけではないのですが、なぜか毎年2,3回くらいは風邪をひきます。ひきますというか、ひかなければいけません。行事みたいなものです。風邪の菌だろうとなんだろうと「来るもの拒まず」ですべてを受け止めてしまう懐の深さ!なのです(なんじゃそりゃ)。

去年の冬はかなり大変で大晦日から1月にかけて3種類くらいの風邪の菌を暖かく体内に迎え入れてしまい、ずーと苦しんでいた記憶があります。去年の日記を見るとよく分かる。

でも何故か、、、今年の冬は風邪をひいてないのです。

これは不思議でたまらない。健康なのはいいことなのだけど、なんか拍子抜けでもあるこの頃。だって風邪をひくとちょっとみんなが心配してくれたりなんかして妙に優越感を覚えたりするじゃないですか。風邪をひいて苦しみながらも全然眠れなくて、仕方なくビデオとか見たりするのも楽しいじゃないですか。なんかちょっと寂しかったりする。

2月後半はまた忙しくなるからな。風邪の菌よ!もし来るなら今ならちょっとだけ付き合ってあげてもいいよ。(まあ、それも困るけど)
2002年2月6日(水) 新居決定
新しい下宿が決まりました!今日不動産屋さんで仮押さえの手続きをしてきました。京都での引越しはこれで3回目。

最初の下宿は月16000円の貸間で下に大家さんが住んでいるところ。女の子は立ち入り禁止で、大家が「勉強しろ」とおせっかいなことを言ってくるという、僕にとっては素晴らしく居心地の悪い環境でわずか1年で退散。

2回目の下宿は月55000円程度のちゃんとしたマンション。もちろんキッチンもユニットバスもついていました。そこは高校の友達の溜まり場みたいな感じになって、僕がいなくても誰かが勝手にきて遊んでいるという素敵な空間でした。が、、、なんと住んで3年目くらいに大家が借金を抱えて夜逃げするという非常事態が発生し、家の周りに怪しげな人たちがうろうろするようになりました。まあ家賃も請求されないので、それはそれでよかったのですが、あまり変なことに巻き込まれるのは嫌だから、ここも退散することに。

そして3回目の下宿が今住んでるこのマンション。京都の繁華街のど真ん中という申し分のないロケーションにありながら、家賃は60000円程度。オートロックの新築で、しかもインターネット環境も整っているという信じられない条件のよさ。仕事で梅田に行く機会が多い僕としては本当に天国のような場所でした。たった一つの欠点はこのマンションが学生マンションであったこと。すでに学生ではない僕はもうここには住めなくなったのです。涙涙。。

で、お待ちかね次の下宿なんですが、これまたとってもよさげなのです。なんと洋間7畳、キッチン4畳という広さで驚くなかれ、家賃が41000円。立地条件はさすがに今のところに比べたらよくないのですが、京大に行くのにも梅田に出るのにもそこそこ便利なところなのです。(場所はまだ秘密)。

この場所ではどんなドラマが待ち受けているのか。楽しみです。さて、部屋の掃除をしなければ。。
2002年2月7日(木) ウィルス産業
ここ最近のコンピューターウィルス騒動を見ていると、コンピューターウィルスというものはもはや"いたずら"とか"犯罪"とかいう域を越え、現代情報社会の機構の一部となり、経済の歯車を動かしているのではないかという気さえしてくるのです。いわばウィルス産業というものが立派に成立しているのではないかと。

ウィルスの被害が広がれば、より強固なセキュリティーを求める需要が生まれます。そしてそれに対応するソフトが開発され、そこに経済の流れが生まれます。この仕組みのいいところはウィルスを作ろうとする側とそれを妨げようとする側の2つの立場は正反対であるゆえに永遠にいたちごっこを繰り返してしまい、そうである限り需要は絶対に途切れないところです。実際どれほど強固なシステムを作り上げたとしても、そのセキュリティーの網の目を縫うような新種のウィルスが何者かによって作り出されます。皮肉なことですが2つの正反対のエネルギーはしばしば社会を動かす原動力になってしまうことがあります。+極と−極があってそこに電流が流れるようなものです。

もちろんこのような構造は今までもあったわけで、保険や防犯関連の産業はまさしく社会の負のエネルギーを使うことで成り立っているのです。しかしこのウィルス産業の面白い特徴はウィルスを作る側も、それを妨げるワクチンを作る側も実は基本的には全く同じことをしているに過ぎないというところにあると思うのです。つまりはウィルスだワクチンだといっても結局はコンピューターの中のプログラムなわけで、ウィルスを作るノウハウもワクチンを作るノウハウも実は全く同じもののはずですよね。セキュリティーを作る人が実は元ハッカーだったなんて話は珍しいことでも何でもありません。

そう、これってよく考えたらかなり怖いことなのです。ウィルスを作る側がいて、ワクチンを作る側がいる。でも実はその相対する2つの立場がずっと奥の方で1つにつながっていたとしたら?乾電池の+極と−極はつながっているみたいにね。

社会を動かしているのは実は目に見えない巨大な乾電池なのかもしれません。
2002年2月14日(木) ごぶさた
僕の日記が滞るときは大抵の場合、僕に精神的な余裕がなくなっているときだと思って下さい。

冷静に考えれば"むちゃくちゃ忙しい!"というわけでもないのかもしれませんが、とにかく考えなければならないこと、やらなければいけないことが山ほどあって、もう何から手をつけていいのかわからんという状態。授業のレジュメを作らなければ、引越しの準備をしなければ、ドーナツライブの手順を考えなければ、その前に2週間後のたのしまNIGHTの手順を考えなければ、、、

あ`ー!!

とパニック寸前。しかもかなり金欠ぎみだし。昔からどうも僕は自分からやることを増やして、自分を追い込んでしまうのですが、実はひょっとしたらそれをどこかで楽しんでいるのではないかというところもあったりして。なんかそれってマゾっぽいぞ。

そんなこんなで今日はHAPPYバレンタインデー。いつになく支離滅裂な文章。。。
2002年2月16日(土) 論作文講座
ここ数日、嵐のように忙しい毎日でしたがようやく一段落。やっとゆっくり眠れそう。

何がそんなに忙しかったのかというと、木曜日から四天王寺国際仏教大学の講座が始まり、そこでこともあろうに論作文講座をやらされる羽目になってしまったからです。当然僕はそんな講座はやったことがなく最初は断ったのです。ところが担当の人に「今から新しい先生にお願いするのは無理なんでそこをなんとかお願いします。」と頭を下げられてしまい、まあ収入も増えるからいいかなと思って軽い気持ちで引き受けてしまったのです。

論作文講座は2時間1コマで2コマの授業をやらなければいけません。受講生は200名程度で短大の1回生が中心。普段数学を教えるときなら予習なんて必要ないのですが、なんと言っても文章の書き方なんて僕は今まで教えた経験はないし、さらに恐ろしいことに僕は生まれてこの方論作文というものを書いたことがないのです。だからまず必死で論作文というものについて勉強をしました。とりあえず学校から何冊かの論作文のテキストを取ってきて読んで、それをもとに授業の計画作り。

そこで気づいたのですが就職の論作文というのはそれを読んだ採点官に「ぜひこいつにあって話を聞いてみたい」と思わせることができるかがポイントなのです。文章の読みやすさもさることながら、いかに個性的で切り口の鋭い文章を書けるかというのが勝負かなと。"1つの物事でも多角的な捕らえ方ができる"ということを知っている人は同じテーマでもより深い、説得力のある文章がかけるのです。そう思ったとき

今まで僕が日記で書いてきたようなことを授業の題材にしてみよう!

という考えが浮かびました。よく考えたら僕もこの1年間この日記にいろんなテーマで文章をつづってきたのですから、それをここに生かしてやればいいのです。

いつになくしっかりと下準備をしてやっただけに、授業内容は我ながらなかなか面白いものになったと思います。例えば11月19日の「公正さとは何か」というテーマで書いた日記の新聞記事を引用してそれをもとにいろんな立場にたった意見を出してもらいました。ついこの間書いた「コンピューターウィルス」の話をテーマに「コンピューターウィルスは悪いものだというのはあたりまえのことだけど、じゃあウィルスが社会にとってよいものであるという観点にたって意見を言うことはできますか」という議論をしたりしました。「パソコンの知識が詳しくなる」、「気になる人から(ウィルス)メールが送られてきたりする。」、「セキュリティーの意識が高まる」などいろんな意見がでて僕も面白かったです。

しぶしぶ受けた授業でしたけど実りは大きかったような気がします。新しいことに挑戦するのは苦労もするけど、得るものも大きいのです。
yosuke@juggling-donuts.org
 
 
 

Akiary v.0.42